(仕事術)「WSJF (Weighted Shortest Job First)法」優先度順位付けフレームワーク
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WSJF (Weighted Shortest Job First)法: 優先順位付け
WSJF法 は、 Scaled Agile Framework(SAFe)に由来する手法であり、優先順位付けのためのフレームワークです。
遅延コスト(Cost of Delay)を加味し、リソースに対して最大の価値を生み出す要件に高い優先順位をつけるのが特徴です。るのが特徴です。
遅延コスト(Cost of Delay)
遅延コスト(Cost of Delay)は、 は以下3つの要素から構成されます。
- ユーザー・ビジネス価値(User/Business Value): ユーザーやビジネスへの価値。
- 緊急性 (Time-Criticality): 時間とともに価値が変わるか。今すぐ必要か。長期でも良いのか。
- リスク低減と機会創出度(Risk Reduction and/or Opportunity Enablement): リスク削減への効果度、新しいビジネスチャンスを生む度合い。
これらの3要素をもとに高い価値を短期間で提供することができれば、大きな経済的なリターンが得られます。
ジョブサイズ(Job Size)
そして、もう一つの要素が以下です。
- ジョブサイズ(Job Size): 要件を実現する際のジョブサイズ(作業量)。
点数付け
WSJF法では、これら要素にフィボナッチ係数で点数をつけます。
フィボナッチ係数: 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21
スコアの計算方法
これらの要素を数値化し、以下の式で WSJF スコアを計算します:
遅延コスト(Cost of Delay)
まず遅延コストを計算します。
ユーザー・ビジネス価値 x 緊急性 x リスク低減と機会創出度 = 遅延コスト
WSJF スコアの計算方法
遅延コスト / ジョブサイズ = WSJF スコア
つまり、遅延コストを作業の期間または大きさで割ります。WSJFスコアも高いほど、優先度が高い項目とされます。
ICE スコアリングの計算例
この例の場合、以下の優先度順位付けになります。
- Feature 3 (WSJF スコア = 19)
- Feature 1 (WSJF スコア = 3.6)
- Feature 2 (WSJF スコア = 2.2)
メリットとデメリット
メリット
- 客観性: ビジネス価値とジョブのサイズを定量化することで、主観的な判断を排除し客観的な優先順位付けが可能です。
- リソース最適化: 限られたリソースを最大限に活用するため、効率的なプロジェクト管理やプロダクト開発が実現できます。
- 進捗の可視化: WSJF値を基にした優先順位付けを行うことで、プロジェクトやプロダクトの進捗状況を明確に把握することができます。
デメリット
- 複雑性と計算の手間: WSJF法は計算が複雑であり、ジョブのサイズの評価が困難な場合があります。
- 適用範囲の限定性: 小規模なプロジェクトやチームでは適用が難しく、適切なデータや評価基準が揃っていないと正確な優先順位付けが難しいです。
- 単純な比率ではないビジネス価値: 実際のビジネス価値は複数の要素や影響を考慮する必要があり、単純な数値で評価することによる過程があります。
- 短期的な視点に偏りやすい: 長期的な戦略や成長に関連する要素が見落とされやすく、ビジネス価値だけでなく戦略的な視点も考慮する必要があります。
まとめ
WSJF法 は、定量(数値)を元にし、遅延コストを考慮した優先順位付けフレームワークです。エンタープライズアジャイルのフレームワークである SAFe で頻繁に活用されています。
優先順位を決める方法は様々ですが、経済的な観点で考える場合はWSJF法は適しているかも知れません。