(仕事術)「狩野モデル (Kano model)」優先度順位付けフレームワーク
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狩野モデル (Kano model): 優先順位付け
狩野モデル (Kano model) は、 1980年代に日本の品質管理学者である狩野紀昭氏によって提唱されました。
このモデルは要件や機能を3つのカテゴリに分類し、それぞれに対する満足度の度合いを定量化することで、製品やサービスの優先順位付けを行います。
3つの要求カテゴリ
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基本的品質 (Must-Have Quality)
顧客が当然備わっていると期待している基本的な品質。満たされていれば不満はないが、満たされていても満足までには至らない。
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量的品質 (Performance Quality)
性能や機能など、製品の物量的な要素。備わっている程度に比例して顧客満足度は高くなる。
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魅力的品質 (Delighter Quality)
顧客の期待を超えた魅力的な機能。備わっていれば顧客満足度は高くなるが、備わっていなくても不満には至らない。
満足度曲線
各要求カテゴリに対する顧客満足度は、以下のような曲線で表されます。
横軸は各要求の充足度、縦軸は顧客満足度を表しています。
- 基本的品質は、要求が満たされないと急激に不満が高まる
- 量的品質は、充足度に比例して満足度が高くなる
- 魅力的品質は、要求がなくても不満はないが、満たされると高い満足が得られる
優先度順位付けとしては、まず「基本的品質」を満たす事を最優先させます。 そして、競合他社との差別化等を考慮し、戦略的に「量的品質」と「魅力的品質」の優先度を決定すると良いでしょう。
メリットとデメリット
メリット
狩野モデルを活用することで、次のようなメリットがあります。
- 優先順位付け: 顧客にとって重要な要求を特定できる
- リソース配分: 限られたリソースを最も満足度の高い要求に集中できる
- イノベーション: 差別化された魅力的な機能の特定が可能
デメリット
- 顧客ニーズの変化への対応が遅れる可能性: 一度決めた優先順位に縛られ、新たなニーズに柔軟に対応できない恐れがある
- 主観的な判断を含む: 要求のカテゴリ分けや重要度判断に、主観が入り込む可能性がある
- 定量的なデータが必要: 顧客満足度の定量評価には、アンケートなどの調査が必須
まとめ
狩野モデルは、製品開発において顧客の潜在的なニーズを発見し、適切に優先順位をつけることができる優れたフレームワークです。 限られたリソースを最大限活用し、顧客にとって最も価値の高い製品を生み出すためのツールとして活用しましょう。